8月 葉月
 8月は、1年の中で最も暑い季節ですね。また同時に立秋を境に秋へと向かう季節でもあります。俳句でいう8月は晩夏から初秋にあたり、暑さとは裏腹に涼しさを誘うような季語が目立ちます。「新涼」「秋めく」「赤蜻蛉」「秋の蝉」はいづれもこの季節の季語です。涼しげな風が吹き抜け、暑さに疲れた身体と心を癒してくれるような気がします。けれどこれらはどちらかと言えば、8月も終わり頃の気分かな、とも思うのですが…。
 盛夏の中にさわやかさを感じさせてくれる夏の代表的な花と言えば、「朝顔」ではないでしょうか?今月は多くの人になじみのあるこの句を紹介します。
朝顔に(や) 釣瓶とられて もらひ水  千代女
 朝顔へのやさしさが伝わってくるような句ですね。夏の盛りとは言っても朝の空気はさわやかで、決して派手な花ではない朝顔の思いがけない美しさに一日の元気を与えられたりします。
 夏が好きな人、苦手な人、この季節大きく意見が分かれるようです。ぎらぎら照りつける太陽の下で夏ならではの楽しみを存分に味わう人。やはり海でしょうか?蝉の鳴き声の変化、花々の移り変わりに季節を感じるのもまた素敵ですね。
 私にとって夏の楽しみはと言えば、花火。今でこそ色鮮やかな花火が、夜空を飾りますが、江戸時代の花火はどんな趣だったのでしょうか?清楚で可憐な輝きの中には、朝顔に通じる素朴さがあったのかも知れません。
※釣瓶(つるべ)とは、井戸水を汲み上げる桶のことです。

※加賀千代(かがのちよ)
1703(元禄16)〜
1775(安永4)
加賀松任の生まれ。表具師の娘。17歳の頃には芭蕉門下の各務支考に才能を認められ「あたまからふしぎの名人」と讃えられ、全国に名を知られるようになる。52歳の時に尼となり、73歳で亡くなるまで詠んだ句は1,700句余と言われている。

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