1月 睦月
 日本古来の美しい言葉が、とても新鮮に感じられる時があります。言葉が季節に彩りを加え、見慣れた景色が少し違って見えたりすることも……。1年間、そんな言葉を紹介していきます。
 昔から月雪花と讃えられているように、雪は冬を象徴する季語です。降雪の時期や量は地方により大いに違いがあり、その趣にもきっと大きな差があることでしょう。
  雪空。大雪。深雪(みゆき)。小雪。吹雪。しずり雪。
細雪。ちらちら雪。雪明り。雪煙。雪晴。暮雪(ぼせつ)。
雪に関わる季語は自ずと多く生まれてきました。様々な雪の情景が浮かんできます。
 そんな中でも、「風花」(かざはな)というひときわ美しい季語。これは「晴天にちらつく雪」または「風の出初めに少し降る雪」のことで、風下の山麓地帯に多く、東京でもよく見られます。はらはらと舞い、手で触れると一瞬で無くなってしまうようなはかなげな雪です。
「日ねもすの風花淋しからざるや」 虚子
凍てつく季節にあって美しい趣のある言葉の響きに惹かれます。
 「冴ゆる」は、冷え切って透徹した感じを表す季語で、「月冴ゆる」「冴ゆる夜」といった使われ方もします。凛とした冷たさを表す「冴ゆる」はいかにもこの季節に似合う言葉ですね。背筋がピンと伸びるような気持ちにさせられる不思議な言葉です。
 でも現実には、風花も、風冴ゆる日の澄み切った空も、さながら炬燵で丸くなって、猫のように眺めていたいのは私だけでしょうか?
高浜虚子
明治7年(1874)ー昭和34年(1959)
愛媛県生まれ、本名は清。俳聖正岡子規の高弟としてその遺業を大成し、日本俳壇に不滅の金字塔を打ち立てた。
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